相談事例集
相談事例集② 報酬の支払遅延

元請から支払がないことを理由に報酬を支払えないと言われた事案(建設業・30代)

相談内容

私は、ビルの建設現場で、基礎工事の土木作業の委託を受けて働いています。工事現場は、複数の下請業者により行われ、私は二次下請業者からの委託を受けて働いていました。
報酬は、二次下請業者が作成する注文書に私の1日の日当が記載されていました。毎月の月末に、その月の稼働日数に日当を掛けた金額の請求書を送って、報酬を支払ってもらっていました。
最初の3ヶ月は、請求書どおりの報酬を支払ってくれました。しかし、4ヶ月目から請求書を送っても報酬を支払ってくれませんでした。
私は、二次下請業者に問い合わせたところ、一次下請からの支払いがないから支払えないと言われてしまいました。
5ヶ月目以降も現場の工事が続いていたので、私が作業を行っています。未払報酬も40万円くらいになっており、このまま報酬を支払ってもらえないと困ります。報酬を支払ってもらうにはどうすればよいでしょうか?

回答内容

元請からの支払がないことが、二次下請業者が相談者に報酬を支払わない正当な理由があることにはなりません。注文書に相談者の日当が記載されており、最初の3ヶ月は、注文書記載の日当に従って請求した金額どおりに報酬が支払われていることから、4ヶ月目以降の報酬についても、その月の稼働日数に応じた金額を請求することになるでしょう。
しかし、請求しても報酬を支払ってくれないことも考えられます。その場合は、報酬を支払ってもらえないのであれば、これ以上この現場の作業を行うことは出来ませんと伝えることが必要です。それでも支払ってもらえない場合は、少額訴訟という裁判所の手続を利用することも検討してみるとよいでしょう。少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り、利用することができる1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする特別な訴訟手続です。最初の3ヶ月に支払われた注文書と請求書のほか、未払となった月の稼働日数を示す証拠を示して、未払報酬金額を請求するとよいでしょう。

ポイント

報酬が約束どおりに支払われないことに備え、報酬額を証明する契約書や注文書などの書面を作成し、保存しておくことが必要です。報酬が日当や時給で決まっているような場合は、いつ、どこで、どのような業務を行ったかということを、例えば日報や手帳、メールやLINEのやり取りなどで、その都度、記録として残しておくとよいでしょう。

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