事前に了承されたアイディアに基づき作業し納品したところ、コンセプト違いを理由にやり直しを要請された事案(フードコーディネーター・30代) ※他にも、ウェブ制作業、デザイナー・イラストレーター業にも見られる事案
相談内容
クライアントの商品を生かしたアレンジレシピを考案することになりました。レシピのアイディアを提出し、それに対しクライアントから了承が得られたので、レシピに従い調理し、撮影することになりました。
業務を開始してみると、実際に撮影が終了した後になって、出来上がりの写真をみて、コンセプトが異なるとして、撮影をやりなおすよう求められることが多くあります。そのため、試作段階でも撮影し、クライアントに確認してもらうなど対策ととったりしましたが、それでも完成後に、取り直しを求められることが続いています。
レシピにしたがって調理をすると、材料費もかかりますし、私の作業時間も余分に発生します。試作段階で確認までしてもらったのに、それでも、やり直しが必要ならば追加費用を負担してもらいたいと思います。
回答内容
求められた成果物を納品した後に、正当な理由がなく、やり直しを求める行為といえます。フリーランスがクライアントとの今後の取引への影響等を懸念して、やり直しの要請を受け入れざるを得ない場合は、独占禁止法上の優越的地位の濫用として問題となりえます。相談者は、試作段階でクライアントにも確認をとって、作業を進めるなどしており、納品後にやり直しを求めることは、正当な理由があるとはいえないでしょう。
余分に発生したやり直し作業は、契約上の求められた作業からの追加の作業といえますから、追加に発生した費用や、報酬を請求することはできるでしょう。追加の請求に応じてくれないのであれば、クライアントからのやり直しの要請を断っても問題ありません。
ポイント
不当なやり直しを求められないように、契約締結段階や作業着手前の段階で、できる限り具体的に作業内容を取り決め、発注者の明示的な了解を書面やメールで得ておくとよいでしょう。事前に了解を得た内容で作業したにもかかわらず、発注者がやり直しを要請する場合には、追加費用の支払が必要であることも事前に通知し、了解を得ておくとよいでしょう。
それでも、やり直しを求められた場合には、フリーランスガイドラインが定める「やり直しの要請」に該当し、独占禁止法が定める発注者の優越的な地位を濫用した不公正な取引と判断される可能性もあります。交渉するにあたり、フリーランスガイドラインに抵触する可能性があることを指摘した上で、追加費用の支払を求めたり、やり直しを拒否するとよいでしょう
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