相談事例集
相談事例集⑩ その他取引条件の一方的な設定・変更・実施

契約更新の際に、これまで支給されていた交通費を支給しないこと、報酬の支払い日を稼働月の翌月10日払いから翌々月の10日払いに変更することを一方的に求められた事案(音楽講師・50代) ※他にも塾講師等にみられる事例

相談内容

3年前から音楽の講師として働いています。契約は1年更新ですが、これまでは自動的に更新されていました。しかし、今回の契約更新の際に、これまで支払うこととされていた教室までの交通費の支払を行わないこと、報酬の支払い日を稼働月の翌月10日払いから翌々月10日払いに変更することを、更新の直前になって、音楽教室側から一方的に通知されました。他の講師の方も同じように求められています。委託者からの求めに応じなければ、私は、契約を更新できないのでしょうか?

回答内容

契約書の中で、契約の更新について定めた条項を確認してください。契約更新条項は通常、更新時の何か月前までに特段の異議がなければ、同一の内容で契約を更新するという条項が契約書に記載されていることが多いです。まずは、その条項の期限を守って変更の申し入れがされているのか確認することが必要です。
契約内容を変更する場合には、一方的に変更はできません。契約変更は、当事者の合意が必要です。これまで支給されていた交通費の金額と、報酬の支払い時期を発注者が一方的に変更することはできません。
フリーランスにとって、不利な条件の変更に応じない場合、発注者から契約更新をしないと一方的に迫られた場合は、フリーランスガイドラインが定める「その他取引条件の一方的な変更」に該当し、独占禁止法が定める発注者の優越的な地位を濫用した不公正な取引と判断される可能性もあります。交渉するにあたり、フリーランスガイドラインに抵触する可能性があることを指摘した上で、これまでどおり交通費の支給と、報酬の支払い日をこれまでどおりとすることを求めてみることをアドバイスした。また、交渉は、同じ契約変更を求められた他の講師の方と一緒に行うことも検討したらよいでしょう。

ポイント

契約期間を定めたうえ契約を更新する場合、通常、契約書には契約の更新に関する条項が設けられています。まずは、その更新条項に則った更新手続きになっている確認することが必要です。
契約内容の変更についても、当事者の合意が必要ですから、発注者が、フリーランスに不利な条件の契約に変更することを求め、それに応じなければ、契約の更新をしないと迫ることは、発注者の優越的地位を濫用した不公正な取引となりえます。また、同じような変更を求められているほかのフリーランスの方がいる場合には、一緒に交渉することも検討するとよいでしょう。

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